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 2019.2.3に発行したペーパーに掲載した「映画 刀剣乱舞-継承-」感想の再録です。
 「暫定」と付いているのはペーパー用に削った部分をいずれ書き足したいなと思いつつ、いったいいつになるのやら…とりあえずそのまま再録しとこう…となったため、です(書きかけのメモだけはえらい分量あるんです…)。

 この映画もまた「とある本丸」の物語であることと、映画の感想であれば映画のことのみ語るべきだということは重々承知しておりますが、私が今回の映画にこれほど感動した理由を語るにはまず「刀ステ」ありきであり、かつ個人的に「悲伝」に思うところがたくさんあり、辛口にならざるを得ないのですが、それも大丈夫という方のみお読みください。

 映画キャストの発表は「悲伝」の前だったと思うのですが、そのときには安心感と期待感を抱けたのに、「悲伝」を観たあとでは「(キャストに思うところは一切ないんですが)いっそすべて新キャストだったほうがよかったかもしれない…」と思ってしまいながらも、それでも真っ新な気持ちで観ようと挑んで…でも逆にこちらがそれを引きずっていたからこそ、諸々飲み込めなかったものがぱーっと浄化され、すーっと成仏できた、それがこの映画に対してまず感じたことでした。
 三日月が色んな思いを胸に秘め、一人安土城に残ったシーンまでは「これじゃ『悲伝』と一緒だ」と、砂を噛んでいるような思いで、画面を見つめていました。でもそこに、長谷部たちが駆けつけてくれた。一人で何とかしてしまうでもなく、新刀剣男士が助けるでもなく、彼ら5人が駆けつけたこと、そこに救われました。本当にありがとうございました。
 代わりゆく審神者の「明日という歴史も守ってほしい」という言葉も、心に響きました。

 そして薬研推しの身としては、実は「本能寺で焼失した」説で確定しているわけではなく、「秀吉の手に渡った後、大坂夏の陣で焼失した」などの説もある(他にもあります)「薬研藤四郎」の逸話がゆるやかに成立するシーンを入れてもらえたこと、それが本当にうれしかったです。
 そのへんも含めて、まさに「物が語る故、物語」であったことが、歴史の謎を解く鍵であったことも、感動した点でした。

 あと何と言っても、特撮っぽい展開も相俟って燃えたのは倶利伽羅江顕現のシーンでした。
 あの仮面が少し剥がれて、刀剣男士であることを匂わせて終わりかな…ぐらいに思っていたのですが、まさかあんなにがっつりくるとは。
 そして正体の明かし方も、戦国武将や刀剣に詳しい方には、無銘が咄嗟に明智光秀をかばったシーンで「もしかして…」と思わせて、そのへん詳しくなくてもちゃんとゲームに励んでいる審神者にはあの緑の衣装が見えた時点で「郷義弘の刀だ!」と思わせる…そんな風に持っている情報が違ってもそれぞれ楽しめる作りになっていたこと、それもとてもよかったなと思いました。

 まだまだ語り足りないのですが、紙面に限りがありまして…「映画 刀剣乱舞」のさらなる広がりを祈りつつ、このへんで。

※以下は、上記の感想とかぶる部分もありますが、ふせったーで呟いていた感想の転記です。

●薬研藤四郎ってゲームを始めとして、だいたい「本能寺で焼失した」って体で話が進むけど、そうではなくて秀吉に引き継がれて、大阪夏の陣で焼失したのではって説もあって、その曖昧さをも許容する流れになってて、そこ本当に感激でした。

●無銘、こいつ何かあるなーとは思ったけど、「闇堕ちした刀剣男士」とは思わなかったですね…想定してる言葉の定義が違うのかもですが。「闇堕ち」ってのは元々一度刀剣男士として顕現した上で何かあって…ってイメージ。
 反射的に明智をかばったから、明智の刀だろうとは思ったし、とはいえ勘のいい方や詳しい方はすぐに刀剣を特定できただろうけど、さすがにそこまでは至らなくて。
でも新たな刀剣男士!?(そう思えたのは、今まで明確に明智光秀の刀が実装されてなかったからだと思う…そこも巧い) と匂わせる程度で終わるかな~と思ってたらまさかまさかのまさかで…実装が待ち遠しいですね😉

●映画刀剣乱舞ネタバレ…はしてないと思うんですがステ絡みのつぶやき(辛口)
これは大変に個人的な理由なんですが…映画キャストの発表は悲伝の前だったと思うんですが、そのときは安心感があったのに、悲伝を見て傷を負ってしまった身としては、こんなことになるんだったら総新キャストがよかったのかも…と思いながら、極力フラットな気持ちで観ようと努めて映画に挑んだんですが…逆にこちらがそれを引きずっていたからこそ、諸々飲み込めなかったものがすーっと成仏していった気がしたんですね…。
だから一周回ってというか、ケガの功名というかで、あのキャストでよかったなと思いました。
 映画版の新キャストもいい味出してたし、本当よかった…色んな意味であの3人の活躍が目立つ作りだったのもよかったよ…。

●映画刀剣乱舞のラスト…アニメとかと違って他の刀剣男士がちらっとでもいる描写もできないだろうから、そのへん本丸襲撃ネタがあっても何かこう迫力に欠ける部分はあるよな、でもそれはまぁ仕方ない…と思ってたんですが、そこにきてラストのアレでう、うわ! あっ、しかも本人!? 本人!? …とめちゃくちゃびっくりしつつ、あれでもしミュ本丸の彼らもいたりなんかしたら、確実に息の根止まってましたね…。

●何か、今までで一番人間くさい三日月だったような気が。「ごまかすのが下手」なあたりとか、「主に謝らせてしまった」なんて感情を持つあたりとか。情報が流出しないように、混乱を招かないように、心配をかけさせないようにと、とにかくひた隠しにしようとしたあたりとかは、それはよくないことなんだけど、そこも含めて、人間くさかったなぁと(あとまぁ代替わりに関しては、審神者もそれを了承してたわけだしね)。
 そしてさらに、それと対極にあるような三日月を演じているのもまた鈴木拡樹さんってのが…すごいよね…。
 だから途中までは本当に「このままじゃステと一緒じゃん…」って半ば絶望してたから(例え一人残った三日月が敵を全部倒したり、何だかんだで帰ってこれたりしたとしても、結局一人でやってしまうのなら)、あそこで5人が戻ってきてくれて本当に救われたんですよ…。
 審神者の「明日の歴史も守ってほしい」って言葉にも救われて…あそこ本当に泣けたんですよ…。

●いや、そう、みんなどこの三日月も「やさしい」刀だって言ってて、それは本当にそうなんだけど、でもだからと言って仲間に何も知らせず、自分一人で全部を守ろうとするってのは、やっぱり仲間を信頼していない、侮っている…ってことだからね…。

●あれこれメディアミックス展開してきたけど、明確に「一度は刀剣男士として顕現したが、色々あって闇堕ちして、かつての仲間の前に敵として姿を現す」ってキャラはまだ出てきてないよね…。
 同じ刀剣男士同士で対峙するとかさ。
 …だから、無銘が出てきても「もしや闇堕ちした薬研か不動か!?」って思わなかったのかな…?
 いずれそういう展開もあったりするのかな…?

●映画、はちゃめちゃにカタルシスを体験したけど、私と同じように感じるには一旦ステ悲伝を見て絶望しておかないといけなくて、かつ同じように悲伝を見ても特に絶望しない可能性もあるので、おすめできない…とても邪道…。

●映画、第二弾ぜひとも! …とは思うけど、その場合あの新たな幼女審神者はどうすんのかなぁと。 私も幼女であれば特に何も思うところなく見られるけど、成長してしまったら(そしてまったく成長してなくてもそれはそれで変だし)ちょっと厳しいかもなぁと…。
 だからいっそ、また別の本丸ってことにしてもおもしろいかもという気も。
 あと映画のネタ選びに幕末も候補に上がってたとのことで、そしたらまた山本耕史に出てもらって、土方歳三役をやってほしい…って意見を見たけど、私は逆にそれは嫌だなぁと(^o^;
 彼なら演じ分けられると思うけど…でもやっぱり「新撰組!」の土方さんの印象が強すぎて、違和感になったりしないかなぁと。
 …とここまで考えて、映画の刀剣男士キャストが発表になったとき、私は安心感を覚えたけど、人によってはステでの彼らが好きすぎて、同名の別キャラなんて受け入れられそうにない…って人もいたのかもなぁとか。

●これ言うと、贅沢言ってんじゃねぇと袋叩きにされそうな気もするけど…(少しネタバレを含みますよ)本当に、やっと映画で信長の刀としての薬研藤四郎に焦点が当たった気がするんですよ。ステにも花丸にも活撃にも出てるけど…そういう面からこんなに描かれたことなかったんですよ…。
 これには本人の性格、スタンスもあるから、「どこか一歩引いて見てる」という描写も彼らしくはあるんだけど…。
 信長が自害に薬研藤四郎を使ったかどうか、それには薬研藤四郎の来歴も関わってくるから(主の腹は刺さない)、「使わなかった」という選択もこれからもあっていいと思うけど、あの映画刀剣乱舞の中では、ああやって決着がついて本当によかったと😭
 ラスト、秀吉が焼け跡の中から薬研藤四郎らしき刀を拾い上げる描写も含めて、本当に本当にありがとう🙏だったんですよ…。

●ラストの新刀剣男士、あそこまでしっかり作ってあるんだから、当然ゆくゆくは実装されると思うけど、役者さんが声優業もされてるみたいだから、ゲームのほうでも声も担当するんじゃないかなーと。
 あと、ゲームへの実装が決まったときに「おおっ!」となるためにも、審神者には映画観ておくといいんじゃない…という気持ちでいっぱいなのに、映画館であの瞬間の「おおおおおっ!?」を味わってもらうためには、これは厳に口を噤んでおかなければならないというこのジレンマ…。
 というか、光秀が刀を取り出して、無銘が反応した瞬間には分からなかった人のために、正体が明かされた瞬間にあの緑の衣装を見ればすぐ分かるように映画の前に篭手切江や豊前江を実装したんだろうな…と思うと(光秀の刀が倶利伽羅江であることは動かせないだろうし)、それもパズルのピースのハマり具合すごいなぁと。
 とはいえこれ、映画が合わなかった人とか、2.5次元や実写がダメな人とかには、何というかこう、ある種の試練かもしれないですよね…。

●最高に面倒くさくて後ろ向きなオタクが深夜につぶやくけど、映画に第2弾があるなら幕末やったらいいんじゃないってよく言われてるけど、例えどんなキャスティングだったとしても心中複雑になりそう…(絶賛されても、こき下ろされても、どっちでもそうなりそうなのがまた面倒くさい)。
 あとその場合、長曽祢は出たとしても蜂須賀は出なさそうだし(そこ陸奥守になりそう)。
 というか蜂須賀が出たとしても、それはそれでまた複雑な心境になりそうだし。
 刀ステが好きな人で、刀シネにちょっと複雑な感情を抱いてる人の気持ち、分かるよ…。

●ついでにもう1つ言うと映画で刀剣男士を「歴史を守るプロとして描いた」、そのために「元の主を死なせることの葛藤は描かなかった」、そして「死に様も歴史である」としたことがブラボーブラボー言われてるけど、その結論はステでもミュでもやってるんだよなぁと。
 「元の主を死なせることの葛藤」は、刀剣乱舞の出だしを見ればすぐに「ありそう」と思えるだろうし、そのとおり他のメディアでは主軸に据えてやってきたし、そうなると飽きもあっただろうし、だからこそそれを外したときに「おおっ」となったのはあると思う。
 映画が最初のメディアミックスだったとしたら、逆に「そこ描かないの?」となってたかもしれないし。
 また「元の主を死なせることの葛藤」って、刀の付喪神である刀剣男士が時間遡行し歴史を守ろうとするからこそ生まれるものであって、この作品の肝の1つでもあると思うんですよね。
 そこを省いたというのは、巧いけれども変化球は変化球だと思うので、初めから「そういう葛藤いらないから」と言われてしまうとね…。